はじめに
今日は、私がハウスメーカーで住宅営業マンの仕事をする上で、一番の参考にした本を紹介したいと思います。
「一生モノの人脈力」キース フェラッジ (著), タール ラズ (著), 森田 由美 (翻訳)
こちらの本は、労働者階級の家庭で過ごした筆者が、父から学んだ人脈の重要性を理解し、自分の人生に活かして、いかに成功していったかを語った本です。
私自身は、「営業ガチャ」が当たり前のハウスメーカーのモデルハウスでの仕組みに疑問を抱き、紹介営業にシフトするきっかけを探っていた時期にこの本に出会いました。
前回のブログで、モデルハウスではお客様と新規の出会いができなくなる未来を書きましたが、これからもハウスメーカーで住宅営業マンを続ける皆さんは、ますます「紹介情報の取得」が大切になってきます。
ぜひ、紹介をもらえる営業マンになるために、こちらのブログや、本を参考にしていただければ幸いです。
目標を持つか、持たないかで結果は大きく変わる
まず、この本で最初に目を留めたのは、目標を持つことの重要性でした。
紹介されているのは、イェール大学1953年卒業クラスにした3つの質問です。
・あなたには何か目標がありますか?
・その目標を紙に書いてみたことはありますか?
・目標を達成するための計画を立てていますか?
実にシンプルな質問ですが、その後、目標はあると答えた人の平均所得は、何も目標がなかった人の2倍。さらに、具体的な達成計画まで立てていた3%の人の平均所得は、それ以外の人の10倍になったのだそうです。
これを読んで、皆さんはどのように思われましたか。
住宅営業マンの皆さんは、期初に数字の目標を立てているので、「自分は当てはまる!」と思っていらっしゃいませんか。
それでは、それは本当にその数字は自分が求めて、実際にその数字を追いかけて1年行動し続けていらっしゃいますか。
もちろん、その通りに数字を追いかけ、達成されている方もいらっしゃると思います。
その一方で、何となく自分の年次や役職に応じて、求められている数字や、とりあえず月イチ受注したいから12棟といった、安易な目標設定をしている方も多くいらっしゃると思います。
それでは、「自分が追いかける数字」とならないわけです。
ぜひ、皆さん、もう一度自分が本気で目指すゴールを設定しましょう。
ゴール設定をどうやって行うか
では、人脈形成と絡めて、目標設定をどのようにしていくか、見ていきましょう。
まずは一番大事なのは、自分の人脈をリストに整理することです。
本で挙げられているリストアップする人脈の例はこんな感じ・・・
・親戚
・親戚の知人・友人
・妻(あるいは夫)の親戚・知人
・職場の同僚
・仕事や趣味などで所属する団体のメンバー
・現在の顧客・昔の顧客
・子どもの友だちの親
・近所の人(前に近所だった人)
・学校の同級生
・これまでの仕事相手
・昔教えてもらった先生、前の会社の社長・上司
・遊び仲間
・出入りしている業者
このあたりを片っ端から書き出して、リストにしてみてください。
後で編集しやすいように、エクセルに名前だけ書きだしてみるのがいいと思います。
そのうえで、次に目標設定と、このリストを組み合わせていきます。
この本では、「ネットワーキング・アクションプラン」と呼ばれる、目標と人脈を組み合わせた目標設定を推奨しています。
このプランの作り方は、次の3ステップです。
①第一段階では、今から三年後の目標を紙に書く。次にその目標を念頭に置いて、一年ごとの中期目標、三か月ごとの短期目標を設定する。それぞれの期間ごとに、私は二種類のゴール(ゴールAとゴールB)を定めるようにしている。
②第二段階では、長期・中期・短期のゴールA、Bそれぞれについて、目標達成に少しでも役立ちそうな人の名前を何人か挙げなければならない。
③最後の第三段階では、この本で紹介するさまざまな人脈づくりのスキルを実際に試すことになる。
目標は必ず文字にすること。
全部で6つのゴールと、それに対して役立ちそうな人たちをリストアップしてみてください。
役立ちそうな人はそれぞれ5~10人程度はピックアップできますでしょうか。
ゴールが3か月、1年、3年と一つの道、延長線上にあるものとして考える場合は、それぞれのゴールと、役立つ人がかぶる場合もあると思います。
かぶる人が出てくるということは、自分にとって、かぶった人は継続してお世話になる可能性がある、重要度の高い人だと言えます。
ちなみに、このプランをつくるポイントとして、ゴールはくわしく具体的にすべきだと書かれており、ポイントは2つとされています。
・達成できそうなゴールを選ぼう。
・一方、挑戦しがいのあるゴールを設定することも大切。
近すぎず遠すぎない、適度に頑張れるゴールを設定することが大切ですね。
僕は当時、3年後の目標を棟数と、紹介受注比率に設定し、そこから逆算した目標を設定しました。
これは、人によって変わるのが当たり前ですから、真似する必要はありませんが、住宅営業マンとしては、数字からは逃げられないでしょうから、一つは受注成績を必ず目標設定すべきです。
また、つくった人脈リストのメンテナンスについては、「ランク分け」の仕方を例として挙げています。
筆者は、人脈のメンテナンスを簡単にするため、連絡をとる回数に応じて友人・知人をランク分けしています。
自分のネットワークにいる人を、「プライベート」「顧客」「見込み客」「重要な仕事相手」「憧れの人」の五種類に分け、このタグで検索をして、連絡の取り方や頻度を変えているそうです。
住宅営業マンの皆さんは、「顧客」や「見込み客」とその他のリストを一緒に混ぜるのは危険なので、ぜひ、お客様以外の人脈について、リスト化を行ってみてください。
住宅営業歴が長い人の中には、気づけばほとんど数年以上あっていない人たちばかり、、、という人も多いと思います。
どうしても、平日休みの住宅営業マンは、社外の人と出会う機会がなかなかつくれないですよね。
私もこのリストを見て、ある程度無理をして、いろんなところに顔を出すようになりました。
皆さんも、自分の「ネットワーキング・アクションプラン」を作成して、自分の人脈を活性化させる準備をしましょう!
いよいよ、どうやって人脈を広げていくか
ここからは、人脈を強化する大事なポイントの中から、私がこれは意識したい!と思ったものを紹介させていただきます。
「タダで仕事を引き受ける」
自分がお近づきになりたい相手に対して、いきなり仕事ができる関係になるということはなかなかないと思います。
そんな時に、まず友人として付き合うことを推奨しています。
相手が即座にあなたを起用することはないという前提にたったときに、とりあえずタダで何かしてあげることで、友人としての関係を築くことからはじめようというアドバイスです。
私自身も、法人から仕事をもらうためのアクションでも、飲み会の幹事をしてみたり、相手のイベントに客として参加してみたり、単純に仕事を超えた関係性を築くようなアクションを入口でしてみました。
また、仕事での訪問でも、カチッとした和菓子屋の菓子折りではなく、わざと「自分がはまっているお菓子」や、「季節のイベントのお菓子」など、相手に1つエピソードを添えて渡せるものを選び、ただの仕事の間柄だけでない距離感を作ろうとしていました。
「最高の顧客は今持っている顧客」
ビジネスの世界ではよく「最高の顧客は今持っている顧客」と言われるそうです。
最も大きな収益は、新しい販路ではなく既存の顧客基盤から得られる、という発想からきています。
リストには既に記載されている方がほとんどだと思いますが、改めて友人の友人、学生時代の顔見知り、家族など身近な人脈に目を向け、そこからアプローチをスタートしましょう。
私自身、最初に顧客を紹介してもらったのは、叔父からでした。
父親は比較的人と人とをつなぐのが好きな「コネクター」気質の人だったので、私がハウスメーカーに入社したあとに、出会う人出会う人に、「息子がハウスメーカーに就職したので、何かあったら頼みます」と頭を下げて挨拶をしてくれていました。
そんな中で、叔父が医療系の施設をつくることになり、その建築会社に私の会社をピックアップしてくれたのでした。
結果としては、補助金の関係などで、地元業者で建築することになってしまいましたが、身近に強い味方がいるのだと知ることができた一件でした。
「相手の信念や最大の功績を調べる」
これは、法人への訪問だったり、相手の会社がわかっている場合に使えるテクニックです。
知り合いたい相手と会う前に必ず、相手の人となりや仕事の内容を調べ、情報を一ページにまとめた資料をつくっておくという方法です。
哲学者ウィリアム・ジェイムスが「人間最も根深い本性は認められたいという欲求」といったとおり、仲良くなりたいために、自分のことを調べてくれたと聞いて、喜ばない人は少ないと思います。
これは社会人としては当たり前のテクニックですが、割と「知っているけど実践できていない」という人が多いのではないでしょうか。
これから法人の開拓をするときに、訪問の1時間前に、訪問先の会社の近くのカフェで、その会社のことを徹底的に調べてみませんか?
それだけで、相手のリアクションはがらっと変わるはずです。
「食事はひとりでしない」
住宅営業マンの皆さんは、普段ランチはだれとどこで食べていますか?
何となく、いつもの慣れている職場のメンバーで、いつもの決まったお店に行っていたりしませんか?
いつかのYouTubeでホリエモンも「普段のランチすら冒険できないやつが、何か変化を起こせるわけがない。」と言っていました。笑
朝食でもランチでも、絶えず機会を逃がさず誰かと近づくべきであり、ネットワークを築くためには絶対にひっそりと引きこもってはいけない、と筆者は言います。
スケジュールが許すかぎり、会議やイベント、付き合いの場に顔を出そう。次々と芽吹く友人・知人のネットワークを広げるには、いつも意欲的に活動して仲間内で一目置かれる存在になろうとすること。
筆者は、多忙を極める中では1度のディナーに2人を招くこともあったそうです。
一度のディナーに2人を招く際には、参加してくれる二人の相性や、出会うことによるメリットを考えて、組み合わせていたようです。
皆さんも、いつものメンバーでのランチや、コンビニに駐車してのご飯だけでなく、ちょっとしたランチの時間で、友人関係のメンテナンスをしてみませんか。
また、筆者のおすすめの人と会う方法として、下記が本の中で紹介されています。
①喫茶店でコーヒーを飲む。
②ビジネス会議
③一緒にジムに行く。自分の趣味に誘う。
④食事に誘う。
⑤相手が喜んでくれそうなイベントに誘う。
⑥自宅でもてなす。
皆さんの得手不得手や、相手によってハードルが高いものもあると思います。
ぜひ、自分にあった方法で、いろんな出会いを作ってみてくださいね。
私自身は今、夜は青年会議所(ボランティア団体のようなもの)の会議が多く入りますので、なるべくランチで、色んな人との出会いをつくり、楽しい時間を過ごすとともに、新しい可能性を探っています。
「健康・お金・子どもの悩みに手を貸そう」
これは、話しやすくもあり、誰もが関心をもつ3大テーマですね。
健康・お金・子どもに関することで役に立てば、相手はより深く恩義を感じてもらうことができます。
自分の通っているジムを紹介してあげたり、子供の学習や就職に役に立つアドバイスやアクションをしてあげる、といったことができれば、相手との距離はぐっと近づきますよね。
私も最近、自分の体力低下に悩んでいたところに、B-monsterという暗闇の中で行うボクササイズジムを紹介してくれた友人にはとても感謝をしているので、この事例はとても共感するところです。
「紹介するには、なるべく異分野の人を」
人と人とをマッチングするときには、まったく別の世界にいる人同士を紹介することが推奨されています。
というのも、人脈は質や量も大切ですが、顔ぶれの多様性もそれに劣らず大切、ということです。
確かに、ほかの業界では当たり前のことが、自分の業界では当たり前ではなかったりすることは多々あります。
私が、異業種の方々から学んだことの中で一番驚いたのは、ある業界では、競合他社同士でも、自分たちの商品を説明したり、お互いの学びになるような情報交換をしているということでした。
違うハウスメーカーの営業マン同士って、基本あんまり仲良くないことが多くありませんか?
私は昔、トイレにいたら、他社のベテラン営業マンと目が合っただけで舌打ちされたことがあります。(きっと私の会社に競合負けでもしたのでしょう、、、)
メーカー同士は仲が悪いイメージでしたが、「他社同士でも仲良くしていいんだ」と思えたことで、住宅営業マン向けのオンラインサロンに運営側として入り、様々な学びを得ることができました。
皆さんが、異業種同士の友人同士をつなげることによって、こんな新しい発想が生まれ、友人の成長につなげることができるのかもしれません。
「マーケティングの達人・人脈づくりの達人になりたければ、とにかく面白いヤツになろう」
これは少しドキッとする話です。
話をして楽しい相手、みんなからあいつは面白いと言われる人間になろう。あなたが合う相手はみな、初対面の場でこう自らに問うているのだ。「この人とランチを食べたいと思うか?」と。
人間は自分が好きな相手と仕事をするだけではない。自分や、自分の会社を高めてくれそうな相手、つまり広い世界観を持つ相手を選ぶのだ。あなたが持つ情報は大切な知的財産だ。
この二つの文章を読むと、次に人に会ったときに、何からしゃべったらいいかわからなくなるようなプレッシャーがかかりますね。笑
でも、相手に役に立つための専門性を身に着けようという姿勢は大切ですね。
この本の中には、たくさんの役に立つエピソードが入っているのですが、特別私が「これを真似しないといけない」と思ったものを、ご紹介します。
筆者は、空き時間を利用して、手に入るあらゆる文献を読みあさり続け、二~三か月後、自分が組織行動に詳しいと言って回り、「専門知識」を社内に提供したそうです。
その後、彼は一気に「TQM(Total Quality Management)のことならあいつに聞け」と言われる三人の社内エキスパートのひとりになることができました。
そこで彼が感じたのは、社内に知識を伝えだして初めて、本当の意味での専門家になれたということです。
最終的には、社内で得た経験を利用して、講演を行い、新聞・雑誌に記事を書き、全米の企業幹部とコネをつくった上に、会社を説得して、北米の総合品質管理を推進する部署を新たに設置し、その部署のリーダーの一人にまでなってしまったという最強のエピソードでした。
専門家になるには、まず自分が教わる側に立つというのが一番の早道という結論ですね。
私も入社したときから、「何か一つでいいから、社内で一番詳しくなれ!」という教育を受けていました。
結局、特に自分らしいものが何かを見つけられないまま、30歳を過ぎたあたりから、法人紹介営業の芽が出だしたおかげで、他支店からも覚えてもらえるようになったと思います。
そうなると、「どうやったらうまくいくのか」など、今まで関係のあまりなかった人からも話を求められたりもしますので、専門性を認知してもらうというのはとても大切なことです。
「自分ブランド確立、三つのステップ」
先ほど話に出た「専門性」ですが、自分の得意分野のことで、相手にそれがどう伝わるかは、「ブランディング」の要素です。
この本では、自分のブランディングを作り出すアドバイスもしてくれます。
①PBM(パーソナル・ブランディング・メッセージ)をつくる
筆者が定義するブランドとは、あなたの名前を見聞きしたとき誰もが思いうかべるイメージのことです。
皆さんも、得意分野や独自の視点から自分のPBM(自分の商品としての位置づけを表すメッセージ)を考えてみてください。
相手に、真っ先に何を思いうかべてほしいか?自分が一番自信を持って提供できる製品・サービスは何か?自分の能力とやりたいことの双方の考えあわせ、どうすれば市場(あるいは社内)でそれらを最も生かせるかを考えることが重要です。
②パッケージデザインを考える
ここでいきなり、仕事にふさわしいきちんとした身なりをしよう、というよくあるビジネス本みたいなアドバイスが入ります。
自分自身がブランドとして、どうみられるかということを考えたときに、身なりで損をしてはいけませんよね。
更にこの本では、何よりも重要な注意点として、目立つようにすることとあります。
自分なりのスタイルを持つことで、自分を認知してもらいやすくするように心がけましょう。
私は、ファッションやヘアスタイルなどについて気にするのは、とても苦手です。
しかし、ファッションについて上司から、「一つ突き抜けたかったら、今のそのとりあえず着てます、っていう格好をやめなさい。」と言われて、白シャツ、ストライプネクタイ、セットアップスーツ、黒カバン・黒革靴をやめました。
すぐに、鎌倉シャツに勤めている友人のところに行き、「無難からの脱却」をテーマに、20万円分の買い物をして、そこからノーネクタイ、ジャケパンスタイル、茶カバン・茶革靴のカジュアルなスタイルに変えました。
会社の人からは、「今日休みなの?」なんて冷やかしも受けましたが、セットアップスーツだらけの社内において、少し毛色の違う自分の立ち位置をつくる一歩になりました。
③自分のブランドを宣伝する
3ステップの仕上げです。
世界という舞台で、自分のメッセージを上演するのだ。あなたが演じる役柄は、「自分」というブランド。役を見極め、ブランドになりきって生きてみよう。
上記のようなメッセージが書かれています。
自分がどう見られたいか、という点は意識して振舞っていきたいですね。
あなたの一挙手一投足が、ブランドをつくると考えて、行動を見直していきましょう。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
私はこの本を何度か読み返していますが、今回のようにまとめてみたのは初めてです。
そこで気づいたのは、ここで書きだした理論だけではなく、筆者の豊富なエピソードとセットで読み込むと、本の理解が一気に進むということです。
ぜひ、貧しい家庭に育った時代の父とのエピソードから、後進を育てている現在までの筆者の豊富なエピソードとともに、人脈形成の重要性と、そのステップの踏み方を、住宅営業マンの皆さんにも、理解してほしいです。
私自身、この本に書かれているすべてを実践しているわけではありませんが、人と付き合う意識を変えてくれたのは、間違いなくこの本です。
最後にこの本に、人付き合いを真剣に考えるべき理由が書かれていますので、ご紹介します。
ハーバード大学のデビッド・マクグレランド教授が、俗に「やり手」と言われる人々の性格や特徴を調べたところ、「準拠集団」(ふだんどんな人と付き合うか)が将来の成功を左右する大きな要因であることが分かったのだ。つまり広い人脈を持つ人と付き合えば、あなたも顔が広くなるし、成功している人のそばにいればあなた自身も成功できる可能性が高くなるというわけだ。
いかがでしょうか。
心地いい人たちといることも大切です。
しかし、あなたが今より一歩でも二歩でも前進したいと望んだとき、あなたの隣にいる人は、だれなのか、ちょっと考えてみてください。
私は、別に誰かとの関係を断つことはしません。
ただし、自分が今より成長するために必要な出会いや関係維持には、力を注いでいます。
ぜひ、皆さんの人脈形成に、少しでもこのブログや、本が影響を与えられますように。
一緒に頑張りましょう。
何かあれば、いつでもご相談ください。