はじめに
こんにちは。
今日は、伸び悩んでいる住宅営業マンが真っ先に考える「資格取得」について、思うところを書いていきたいと思います。
住宅営業マンの皆様は、何か業務に関連した資格を持っていますか??
普通免許は必須の企業がほとんどですが、それ以外は企業によって求められるものはまちまちかと思います。
特に住宅営業マンが取得を目指す資格で多いのが、宅建とFPです。
新年の目標で「宅建を取る!」「FPになる!」という目標を立てられる方はたくさんいます。
それでは、本当にこれらの資格は必要でしょうか?
宅建って本当に必要?
まず、宅建について考えてみましょう。
宅建は、事務所に5人に1人はいないといけないというルールがあるので、会社から積極的に奨励されている会社が多いです。
また、分譲地・分譲住宅が多かったり、不動産業も兼ねているような会社だと、重要事項説明をしないといけないので、宅建を持っている人がありがたがられるという傾向はあると思います。
では、実際の案件において、どんなメリットがあるでしょうか?
宅建取得のメリット
・顧客対応にあたり、不動産取引の知識がつく。
・分譲地、分譲住宅販売にあたり、自分で重要事項説明ができる。
・名刺に宅地建物取引士と書け、お客様から信頼を得やすい。
概ね、この3つがよく聞くメリットです。(会社によっては手当がもらえるなんていうのもありますが。)
これら3つのメリットが本当に必要なものなのか、しっかり考えてみましょう。
まず、不動産取引の知識がつくという点です。
これは、必要か、必要ないかでいえば、間違いなく必要な要素です。
家を建てる一番のボリュームゾーンは30代前後の土地から建築をする層なので、土地探しから逃れることはできないと思います。
しかし、ハウスメーカー営業マンが必要な知識と言うのは、宅建の試験に出てくるような取引における法令なのでしょうか。
ハウスメーカー営業マンの皆様は、一般的に土地契約をする際には、不動産仲介会社の協力を得て、土地契約をすると思います。
仲介会社の営業マンを差し置いて、我々が法令にひっかかるような取引を行うことはまずないと思います。
重要なのは、媒介契約の3種類の違いや、抵当権、連帯債務、直接建築に関わる都市計画法・建築基準法などです。
また、富裕層を相手にしていくと、相続についての知識などが重要になってくるでしょうか。
一方で、区分所有、借地借家法、宅建業法などが役に立つのは、賃貸住宅を扱ったり、あやしい不動産業者と関わらないといけない時など、レアケースです。
顧客対応に向けての知識を付けたいのであれば、これらの勉強をするより、土地の相場を知ったり、エリアの特性を知ったり、土地案内の仕方を工夫することに時間を費やすことが先に立ちます。
そこから逃げて、なんとなく不安だから・成績が伸びないから、「宅建で知識を付けよう」となっていませんか。
また、分譲について自分で説明できるというのは、重要度がどの程度あると思いますか。
若手のうちは、先輩に同席してもらって説明してもらう気まずさなどはあると思いますが、正直年に数回の気まずさを解消するためにどこまでの時間を費やすべきなのか疑問です。
最後に、名刺に資格が乗るという点です。
これは若手で、まだ肩書が一切ないうちは、不安になるお客様に、「しっかりと勉強している担当だ」と思わせる要素にはなります。
しかし、勉強している担当だと見せる瞬間は名刺をきる瞬間しかないのでしょうか。
その後の接客時、しゃべる一言一言、お見せする資料の一つ一つで、いくらでも勉強した成果を見せる瞬間はあります。
お客様は資格で担当を判断するわけではありませんので、肩書で勝負するのではなく、自分の接客を磨いていくのが営業マンとしての成長の道ではないでしょうか。
このように考えていくと、宅建の取得は、「あるといい」ものではありますが、優先順位として、成績が伸び悩んでいる人が時間を割くものではないです。
まず、お客様に直接的な知識を学ぶべきだといえます。
宅建取得が推奨されるハウスメーカー営業マンとは、下記のような人々ではないでしょうか。
宅建取得が推奨されるケース
・住宅営業の基礎知識は十分で、+αで自分の武器をつくりたいと思っている。
・事務所で宅建士が足りておらず、資格取得を強く求められている。
・宅建が昇格要件になっている。
・分譲などを扱うケースが多く、重要事項説明が必須になる。
・資格を持っていると手当てが出る。
このように、必要なハウスメーカー営業マンも多くいらっしゃると思いますので、一概に言えませんが、思考停止で資格取得を目指さないでほしいと思います。
FPって本当に必要?
次に、FPについても考えてみたいと思います。
FPについては、実は私も2級を取得しており、よりリアリティをもって書かせてもらいます。
察しのいい方は、前述の宅建の記述を見ていただいて、同じ結論になることを推測されていらっしゃるのではないでしょうか。
まず、FP取得のメリットはなんでしょうか。
FP取得のメリット
・顧客対応にあたり、金融知識がつく。
・名刺にファイナンシャルプランナーと書け、お客様から信頼を得やすい。
・自分の人生に必要な金融知識がつく。
大きくこの3つが、FP取得のメリットとして考えられました。
この3つについても考えてみましょう。
まず、FPを取ることで、お客様と資金計画を作成するにあたって、お客様の人生設計を踏まえた予算を組むことができる知識を得られるというのが、資格取得の一番の目的になると思います。
ただローン電卓をたたいて、返済限度額を推測して、お客様に予算提案をするのでは、借りれる額と返せる額のギャップが生まれてしまうことが多いので、お客様の幸せにつながりません。
そこで、金融知識を勉強をすることで、人生設計を踏まえた予算設定をすることができるようになれば、お客様の役に立ち、信頼獲得のために有益な知識と言えます。
しかし、資格の勉強をすることで、適切なファイナンシャルプランニングが提案できるのでしょうか。
残念ながら、答えはNOです。
ファイナンシャルプランナーの業務をしている方の仕事を見てみればわかりますが、ただ知識があるだけでは足りず、訓練されたヒアリング・提案の技術が必要です。
そもそも、彼らはファイナンシャルプランニングを行うためのソフトを持っており、ヒアリングした内容を入力することで、将来の収入・支出・資産推移がどうなっていくのかをシートで提示できるようになる訳です。
こういった技術やソフトもなく、資格を取得しただけでは、お客様の人生設計をお手伝いすることはできません。
また知識としても、FP取得のためには、税金、保険、金融資産などの包括的な金融知識が必要になります。
本当に、これらの知識をつけるための時間を、今取ることが適切なのでしょうか。
ある程度住宅営業としての知識を持っていて、プラスアルファの武器が必要な人であれば理解できます。
住宅営業の基礎が十分でない人は、損害保険や法人税の勉強に時間を使うより、銀行のローン商品を勉強した方が、お客様のためになりますよね。
次に、名刺にファイナンシャルプランナーと書けることの重要性です。
これも、宅建の時に書かせて頂きましたが、資格の看板に頼らず、きちんとお客様に接客で自分の実力を示すべきだと思いますので、優先順位としては低くなります。
最後に、自分の人生に必要な金融知識がつくという点です。
これは、ハウスメーカー営業マンとしての話ではなく、一人の社会人として、FPが役に立つかという点です。
ここにおいては、私はすごく役に立つと思っています。
学生時代はもちろん、社会に出て、なかなか幅広い金融についての知識を学ぶ機会はないと思います。
正直、資格を取るだけでは、あっという間に知識は薄れていきますし、何かの機会に答えを用意できるものではありません。
それでも、なんとなくこの用語はこういう意味だった、こういう所にリスクがあるといった勘所がつかめると思います。
いかがでしょうか。
FPについても、私は住宅営業マンとして、そこまで優先順位の高いものではないと思っています。
FP取得が推奨されるケース
・住宅営業の基礎知識は十分で、+αで自分の武器をつくりたいと思っている。
・FPが昇格要件になっている。
・資格を持っていると手当てが出る。
・FPを取ることで、自分の人生設計をの一助としたい。
事務所で資格保有者が必要な宅建と比べると、FPはより武器にしたいから取るという理由が強くないと、無駄な時間になってしまいます。
最後に
ここまで、ハウスメーカー営業マンにとって、資格取得が必要かを考えるために、代表的な宅建とFPを例にあげて、お話ししてきました。
どちらも結論としては、会社として求められた場合と、住宅営業の基礎ができた後の+αとしてであれば勧められるものの、「その前にもっと本質的なことはないの?」というのが私の主張です。
是非、一年の目標でとりあえず掲げやすいからという理由で、資格に逃げるのではなく、目の前のお客様に適切な提案をするために、学ぶべき知識や技術はないのかを考えてほしいです。
自分が何を学ぶべきか悩んだら、ぜひ、ご相談くださいね。