今日はこれからの社会において、どのように考え、進んでいけばいいかを考えるのに最適な良書に出会ったので、ご紹介させていただきます。
「転職2.0 日本人のキャリアの新・ルール」 村上 臣(著)
この本の著者・村上臣さんは、青学在学中に起業し、ヤフーやソフトバンクなど名だたる企業を歴任し、リンクドイン日本代表を務める方で、キャリアを語るのに十分な経歴です。
また、リンクドインというキャリアに役立つサービスを運営している方でもあるわけですから、我々のキャリアについての考えをアップデートしてくれる存在です。
はじめに
まず、私がびっくりした数字から見てください。
平均勤続年数
アメリカ⇒4.2年
イギリス⇒8.0年
ドイツ⇒10.7年
フランス⇒11.4年
日本⇒11.9年
本書の中で紹介さいれている平均勤続年数を見ると、日本人は大学卒業から40年働くとして、約3.6回転職する計算になります。
結構早いサイクルに感じるのは、私の価値観が古いからでしょうか。
人生100年時代を考えると、もう少し転職回数は増えるかもしれません。
私自身も、新卒12年9か月での退職となりましたので、この平均に比較的近い数字でしょうか。
また、一部調査では、若い世代ほど転職のサイクルは早まっており、20~50代の平均転職回数は、2~3回と横並びになっています。
40代以降は、日本型雇用(終身雇用等)が崩壊しつつあることに気付きながらも、自身は逃げ切れるという感覚で働いている一方で、20代、30代はキャリアについて真剣に考えている割合が多いことが、転職回数や意識の調査で見えてきます。
そんな日本社会で私たちは乗り遅れないためにも、しっかりとした考えと行動が求められていくわけです。
「タグを付ける」
1.0⇒「情報収集」をする
2.0⇒「タグ付けと発信」をする
今までの転職と比べ、情報が溢れている現在においては、自分自身に「タグ」を付けることで、情報を分類する必要があります。
タグはポジション、スキル、業種、経験、コンピテンシー(ハイパフォーマーに共通する行動特性)で分けることができます。
自分自身で整理して、タグを付けていくこともできますが、本の中では他人から自分がどう紹介されるのかをヒアリングしてみることを勧められています。
周囲のひとからのフィードバックをもとにタグ付けをしてみて、それが市場でどの程度評価されるのかを確かめるというのは、一人で転職と向き合うより、正確な評価を得られる可能性があります。
また、とりあえず転職市場に飛び込んでみることも推奨されています。
今現在の自分の持っているタグを利用して、面接までたどり着けるかどうかで、今の市場において、自分自身がどの程度のパワーがあるのかを把握することができます。
1件も面接にいけないのであれば、手持ちのタグが弱いということになりますし、面接までたどり着ければ、会社の採用方針や、求めている人材像を聞けるチャンスが生まれます。
「業界選びのフレームワーク」をつくる
著者は、業界とポジションが同時に変化するような異業種間転職に対しては、賛成できないとしています。
業種か職種については、どちらかを固定して、「同業界だけど別のポジション」か「ポジションは同じで別業界」というずらし方が基本にすべきと書かれています。
私自身は、業種職種を変える挑戦をしているわけですが、やはり、多くの方に相談すると、一度に業種職種を変えるのは大きなリスクなので、考え直した方がいいと言われました。
一足飛びでリスクを取るのではなく、自分の知識・経験が活きる領域からキャリアを進めていくのが王道になるわけですね。
そのために、市場で熱いとされているポジションと、自分が遠い距離間にいる場合には、2ステップくらいの転職を経て、自分の目指すポジションに行き着くような戦略を立てるべきとされています。
一足飛びに自分の飛び込みたいポジションを取りにいった私は、これから人一倍の努力をしないと、失敗するリスクがあることを改めて実感するところです。
また、自分が会社の中で、どのタイミングで、どんなタグを得た後で転職を目指すべきかも語られています。
まず、タイミングについてですが、35、40歳というラインを転職の「定年」とする風潮は否めないとあります。
特に、業界や会社でマネジメントは大きな違いがあり、異業種に転職するなら、管理職に就く手前の年齢がボーダーラインという暗黙の制限があります。
同業界であれば、マネジメント経験を持った状態での転職はプラスの評価になりますが、異業種だと足かせになる場合もあるというのは驚きです。
また、自分が自分がどんな業界を狙って、タグを得ていくかは、IRが非常に重要だと言います。
業界1位企業のサマリー部分に相当する最初の数ページを読むことで、業界全体の市場規模や、今後の伸びしろなどがわかります。
市場規模のパイが大ききければ、ビジネスチャンスも大きいと判断できるので、自分が目指す業界の市場規模をチェックして、自分が目指す先にどれだけチャンスがあるのかを確認して、その上でその業界に向かうために必要なタグを得ていく努力をすべきです。
キャリアコンサルタントの果たす役割
この本の中では、定期的なキャリアコンサルタントとの面談も推奨されています。
転職を確実に行うタイミングだけでなく、信頼できるエージェントは「キャリアは長期的な視点で考えるもの」という認識を共有しており、キャリアにプラスになる提案をしてくれると書かれています。
まさに、今私が受講しているキャリアコンサルタント養成講座でも、相手を一方的にリードするのではなく、クライエントの自己理解を促して、自らが行動変容していく過程を支援することを学んでいます。
アドバイスとして、キャリアコンサルタントには、個別の会社についての情報よりも、業界について聞いた方がいいとされています。
個別の会社ついて聞こうと質問をすると、ついついキャリアコンサルタント側も、転職への関心が高いのかと思って、採用活動を行っている会社を優先的に伝えてしまうかもしれません。
採用に消極的な業界で、積極採用している企業はちょっとあやしい部分があるかもしれないので、まずはきちんと「業界としてどうなのか」を考えていかないといけないわけですね。
私も、今までいた住宅業界以外の業界についても、しっかりと知見を高めて、皆さんの期待に応えられるキャリアコンサルタントになれるように、資格に向けての勉強と、業界知識の勉強を進めています。
ぜひ、キャリアは一人で悩むものではなく、相談相手と一緒に二人三脚でつくった方が豊かになることが、皆さんに伝わればいいなと思います。
さいごに
この本では、きちんと思考のステップから、具体的なアクションまでがまとめられている中で、私が特に気になった一部をご紹介しました。
ぜひ、体形的に「転職1.0」と「転職2.0」は何が違うのか、自分の向かうべき方向はどう見定めるべきなのか、本書から学んでもらえたらなと思います。
私自身も、この本で紹介されるような信頼できるキャリアコンサルタントになるべく、必死に勉強していきたいなと思います。
ぜひ、気軽にご相談くださいね。